心理師・千田の思考:子供のスマホなどスクリーンタイムはコントロールは可能か?

子供の発達相談(ASDやADHD、境界知能を含む)や窃盗(万引き)などの問題行動、盗撮や痴漢、その他の性非行(性犯罪加害者)の相談を行っている中で、子供のスマホやタブレットの使用時間や依存症についての相談が度々あります。

スクリーンタイムとは、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのデジタルデバイスの画面を注視している時間のことをいいます。
その時間が多くなると健康面や人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。


例えば、長時間の画面視聴は、自律神経の乱れや睡眠不足(不眠症)、眼精疲労、斜視、姿勢不良、集中力の低下、時間の浪費といった問題を引き起こす可能性があります。
また、対人関係では対面でのコミュニケーション不足や、デジタル依存症(ゲーム依存などを含む)のリスクがあり、特に子どもにおいては、発達への影響が心配されています。



さて、
米国で10,048人の12〜13歳を対象とした、思春期の脳の発達に関する研究(ABCD研究<2019〜2022年>)が行われました。
その分析結果を参考に簡単に書かせていただきます。



スマホなどのスクリーン使用時間が増加する場合と減少する場合

親がスマホなどスクリーンデバイスの使用時間(例:子供と一緒にいるときの親がスクリーンデバイスを使用している)が長いほど、子供のスクリーンタイム、ソーシャルメディアの使用(以後、ソーシャルメディアと表記)、ビデオゲームの使用(以後、ビデオゲームと表記)、携帯電話の使用(以後、携帯電話と表記)の増加と有意に関連してた。

家族での食事中のスクリーン使用は、子供のスクリーンタイムおよびソーシャルメディア、ビデオゲーム、および携帯電話の使用の増加と関連していた。

子供の寝室でのスクリーン使用は、子供のスクリーンタイムおよびソーシャルメディア、ビデオゲーム、および携帯電話の使用の増加と関連していた。

子供のスクリーン使用行動に対する親による制御(良い行動に対する報酬や悪い行動に対する罰としてスクリーンタイムを使用するなど)は、子供のスクリーンタイムおよびビデオゲーム時間の増加と関連していた。



親が関与すると
子どものスクリーン使用に対する親の確認行為(使用状況の把握など)は、子供のスクリーンタイムの減少、ソーシャルメディアおよび携帯電話の使用の減少と関連していた。
親が子どものスクリーン使用を制限することは、子どものスクリーンタイムの減少、ソーシャルメディア、ビデオゲーム、携帯電話の使用の減少と関連していた。


親のスクリーンタイムとの関係
親のスクリーンタイムのモデリング(観察して真似る)の研究では、子供と一緒にいるときの親のスクリーン使用は、思春期初期の子供のスクリーン使用時間の増加や、ソーシャルメディア、ビデオゲーム、携帯電話の使用と関連していることが示されています。
子供と一緒にいる時とは、例えば、リビングなどで家族がくつろいでいるときや家族で出かけた時などで電車に乗っている時、その他、子供と一緒にいる時など親子で会話を楽しむ場面などのことを言います。


年少児の子供がいる親のスクリーン使用時間の増加は、年少児のスクリーン使用時間の増加や、子供とのスクリーンの共に使用する頻度の増加と関連していることを示唆するさまざまな研究と一致していると書かれています。


親のスクリーンタイムとの関係においては、個人が他者の行動を観察し、模倣することで学習するという社会的学習理論(モデリング理論)で説明できます。
子どもは親の行動を模倣し、親のスクリーン使用行動を観察していてまねている可能性があります。

これの意味するところは、子どもは年少時期から親の行動を観察し模倣しているので、子供の心身の健康のためには、親は子供に正しいお手本を見せる必要があるということです。それを行うためにも、親自身がスクリーンタイムのコントロールする必要があるということです。


親が正しい手本を見せ続けながら、子供の使用時間を観察し指導することで子供はコントロールできるようになるということです。
指導には、ペアレントトレーニングの方法を用いるとより効果的だと思います。


今回は触れていませんが、親のスクリーンタイムの使用時間の増加が乳幼児期の子供とのアイコンタクトの減少にも影響を及ぼしているという研究もあったりするので、このことはまたの機会に書かせていただければと思っております。


リスタ・カウンセリング・ルーム-トップページ



参考文献
1、Associations between media parenting practices and early adolescent screen use.
Pediatric research. 2024 Jun 05
Jason M Nagata, Angel Paul, Felicia Yen, Zacariah Smith-Russack, Iris Yuefan Shao, Abubakr A A Al-Shoaibi, Kyle T Ganson, Alexander Testa, Orsolya Kiss, Jinbo He, Fiona C Baker


2、De Lepeleere, S., De Bourdeaudhuij, I., Cardon, G. & Verloigne, M. Do specific parenting practices and related parental self-efficacy associate with physical activity and screen time among primary schoolchildren? A cross-sectional study in Belgium. BMJ Open. 5, e007209 (2015).

3、Jago, R., Sebire, S. J., Edwards, M. J. & Thompson, J. L. Parental TV viewing, parental self-efficacy, media equipment and TV viewing among preschool children. Eur. J. Pediatr. 172, 1543–1545 (2013).

4、Lee, H. E., Kim, J. Y. & Kim, C. The influence of parent media use, parent attitude on media, and parenting style on children’s media use. Children 9, 37 (2022).

5、Xu, H., Wen, L. M. & Rissel, C. Associations of parental influences with physical activity and screen time among young children: A systematic review. J. Obes2015, 546925 (2015).

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です