うつ病やストレス疾患について骨折を例に説明してみます

うつ病の方で医療機関から紹介されたり、抑うつ状態の方がホームページを見られて来られたり、また、ストレスが身体症状に出ている方などなど、仕事上のストレスや対人関係上のストレスを抱えられて困られている方がたくさん来られております。



そのような方に、ストレス疾患やうつ病・抑うつ状態の説明時に、よく『骨折』や『アキレス腱断裂』『捻挫』『筋肉の疲労』を例にして説明をしています。


乱暴な言い方かもしれませんが、うつ病は疲労骨折を起こしている状態に似ている。
仕事で疲労(脳の疲労)がたまっている方は、アスリートたちの『筋肉の疲労』と同じであると考えてみてください。
アスリートたちは、その日に疲労をその日に解消します。でないと捻挫や肉離れなどのケガのもととなるからです。
それ同じで、ビジネスパーソンズの方たちも疲労をその日に取ることをしないでいると後々うつ病などの問題が起きてしまいます。



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図1、を例に説明をしてみます。
32歳の時に必要以上にストレスがかかり続けて、下がったところがうつ病(アスリートだと骨折)を表します。


骨折だとレントゲンとかで折れていたり、ひびが入っていることが分かりますが、うつ病の場合は脳の中を見て確認できるような検査は現在のところありません。
また、精神とか心とか見えないのでよくわからないかったりして不安になったりします。


ただ、うつ病が起こっているのは、脳なので立派な『身体の病気』であるということです。
心が弱いとか言いますが、この言い方は私は当たっていないのではないかと考えております。


どうしてか。
アスリートの人が骨折したら骨が弱いとは言いませんよね。
どちらかというと『練習プランがハードすぎて無理があった』とか『身体の疲労を取るためのケアが十分でなかった』とか『そのような練習をさせた指導者(会社だと経営陣や上司かな)よくない』とかということになります。



ちなみに、ハードに練習をする場合、ケアの方も十分な時間が必要になります。
仕事も同じで、負荷がかかる仕事の場合、休息やリフレッシュ(疲労を取るための鍼灸治療や医療マッサージ、有酸素運動等)の時間を十分にとるれるような仕事の計画が必要です。
ましてや、うつ病って10人から15人に1人はなるわけで、そんなに心が弱いものばっかりだったら日本はどうなってしまうことやら。そもそもの仕事の計画性に問題があるということです。



さて、足のフトモモのところの骨を大腿骨と言いますが、ここを骨折した場合、極端な言い方としますと骨が折れているので最初は動くことができずにベッドで寝ていますよね。
その後、ギブスで固定されて骨がくっつくまでは何もできない状態です。
うつ病も同じ、当初は何もできない状態です。布団の中で一日過ごすとか。これは当たり前のことです。



疲労で骨折したのだから十分に休めという身体からの指令なのです。そして、休んでいると自然に骨がくっつきます。が、筋肉などは痩せていますし感覚もおかしくなっていると思います。
うつ病の場合も少し動けるようになりますが、集中力や記憶力などはまだそれほど戻っては来ていません。



このころからリハビリが始まるわけです。
骨折の場合だと、足を少し動かしてみたり、次にベットにつかまりながら立ったり、ゆっくりと歩いたりと段階を追ってリハビリを進めます。ここで焦って急に強い力などかけたりすると再骨折したりする危険もあるわけです。


また、ちょっとリハビリをやっただけでどっと疲れが出たりします。だから、少しやっては十分休みまた少しやるの繰り返しで、筋肉の力やら感覚が戻ってくるわけです。



うつ病も同じように認知行動療法等の心理療法を用いて段階的にリハビリを進めてまいります。
なお、焦ってというか不安になってネガティブなことばかり考えると、これがストレス(脳への負荷)となって回復に時間がかかってしまったりします。
また、ちょっとした作業をするだけで疲れがどっと出たりします。その時は十分に休んでまた課題を行う作業を繰り返していくことになります。



アスリートはいよいよグランドでの練習を開始しますが、他の選手たちとは別メニューで練習を行います。
ここでも焦っていきなり強度の強い練習などして再骨折してしまうと、それこそ元に戻れなくなってしまう可能性が出てきてしまいます。
まあ、約6か月~1年ぐらいはリハビリで、そして、本人の競技の本格的な練習に入っていく。



うつ病も全く同じで、ここで出社するわけですが、別メニューでまずは出社、はじめは座っていることが仕事です。この時に一所懸命しないといけないとか考えてやろうとすることは、さっきのアスリートの強い練習と同じになるので再発することがあります。
これは絶対に避けたいので、少しづつ負荷をかけていきながら1年間は別メニューで行っていきたいのですが、ただ、会社は6か月ぐらいたったころには普通に戻したいと思っていると思います。
それでもクライエントの方には、出社後も1年間はリハビリ期間で『無理しない無理しない』と思って仕事をしていくようにお願いをします。



下記の図は、認知療法・認知行動療法で悩みや困っている問題を説明するための認知行動モデルというものです。
うつ病をモデルに作成しています。



また、今までカウンセリングで学習してきた認知行動療法を、普段から用いて再発の予防に役立ててもらうことと、普段からストレスの解消を心掛けるようにお願いしています。
そしてここが大切なのですが、それでも、ちょっとでもおかしいと思ったらすぐに相談に来るように伝えます。
これには理由があって、まずは再発をしてほしくないということです。それと、すぐに来てくれれば1回~3回ぐらいの相談で元に戻ることができるからです。



再発はどうしていやなのか。
厚生労働省の報告では、うつ病の再発率(お薬での治療のみの場合)は、初めてうつ病なった方が回復後に60%の確率で再発するといわれています。さらに2回うつ病になった人は70%の確率、3回うつ病になった方は90%の確率で再発をする。
このようにうつ病のなった回数によって再発率が高くなってしまいます。なお、お薬の治療だけでは再発予防を行うことはできません。


また、再発を繰り返すたびに治療期間も伸びていくからです。例として、2度再発するとお薬の治療の場合、2年間以上は飲む必要があるなど、時間がかかってしまいます。なので、現在うつ病になられている方は、認知行動療法などのうつ病に対してエビデンスのある心理療法も併用が必要であろう考えております。

ちなみに、以前はお薬の治療を最初に行って、時間差で認知行動療法などの心理療法を行うのが効果的と言われておりましたが、最近の研究では、はじめから同時に行う方が効果的で経済的であるという研究発表がなされております。


自分では疲労しているなとか憂鬱だなとか思っている段階で、実はうつ病になっている場合も多くあります。自覚のある方は、カウンセリング・ルームやクリニック・診療所に行かれるのがいいと思います。



当ルームでは、対面相談とオンライン・カウンセリングで相談を行っております。

解決に向けて当ルームに一度、相談にお越しください。

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