境界知能の子供達に『コグトレ』と『前頭葉・実行機能プログラム』を行っていての変化
今回は子供達に限定しての『コグトレ』と『前頭葉・実行機能プログラム』のトレーニング経過(トレーニング結果)の報告です。
今回の報告対象とさせていただいている子供達は、コグトレにお申込みいただいている小学校4年生から中学3年生と前頭葉・実行機能プログラム<おおむね15歳以上が対象>(FEP)に申し込まれていた中学3年生から高校2年生の方々です。
対象者
★IQ70~85未満の方とIQ70前後(軽度知的障害の診断あり)の方
また、神経発達症(ASDやADHD)を併存されている方もおられます。
★普通級又は支援級で、人によって違っています。
★学習の評定(状況)が、平均2(1から3)の方々。
※ASD:自閉スペクトラム症
※ADHD:注意欠如・多動症
申し込まれた理由としては、
『授業についていけない』や『先生の言っていることが半分程度しか理解できない』、『成績がよくない』等、授業についてや勉強の問題が一番多い。
後は、『授業や勉強についていけないプラス、家の物を盗んだり噓をつくようになった子供(非行や問題行動)』や『痴漢』『窃視症(のぞき)』『盗撮』『強制わいせつ』『家庭内(兄妹間など)でのわいせつ行為』など性暴力や性虐待を起こした子供が数名です。
ただし、非行や問題行動、性暴力、性虐待などの問題行動を行っている子供は、まずはそれらに対する認知行動療法を受けていただいて、問題行動が解決した後に『コグトレ』か『前頭葉・実行機能プログラム』のトレーニングを受けていただいております。
個々の能力の違いについての一例
『コグトレ』の視覚性の短期記憶と聴覚(言語性)ワーキングメモリーのトレーニングを行っていると、IQに関係なく明らかに視覚性が苦手な子供と聴覚性が苦手な子供がいる。
例えば、聴覚性が苦手な小学校6年生の子供に、「授業で先生の言っていることはわかっている」と聞くと、黒板に書きながら説明してくれると見ることができるのでわかるが、書かないで説明されると本当は半分も理解できない。これを聞いて私もそうだろうなと思っていました。
たぶん、この子供は小学校に入学後から授業中この状態が続いているのであろうと考えた。
なお、この問題を持っている小学生と中学生の子供は何人かいました。
逆に視覚性として、図形を記憶⇒作成が苦手な子供も何人かおられました。
これは、授業中に黒板に書かれたものを写す作業にとっても時間がかかってしまうことを意味しています。
何度も黒板からノートを繰り返し見ながら書く作業をする必要がある。なので、先生が大体クラスの子供たちが書けたところで消されたりすると、本人はまだ半分も書けていないところで終わってしまったりする。
その他にも個人個人によってできる機能やできない機能、項目・課題がありますが、今回これぐらいにしておきます。
当ルームでは基本は個別トレーニングで行っています。
一番の理由は、個人のレベルが違うことが一番大きい。
例えば、IQ70前半とIQ80前半では、やれることが大きく違います。また、IQが同じレベルでもやれる課題に差が生じていたり、神経発達症が併存しているしていないでも違ってきます。
ただ、グループも実は行っている。
コグトレの場合、ワンクール(個別)の24回が終了したところで継続を希望される場合、千田が個人のレベルを把握できているので、最大3人までのグループトレーニングも行っております。
※費用は変わります。(安くなります)
変化は起きるのか。
一番多い授業や勉強の問題の場合、お母さんやお父さんまた、塾(1対1の個別塾または家庭教師)の先生の話を聞いていると、大体トレーニングが15回程度進んだ頃より、今までより少し理解力が早くなったとか認知の変化が起こっているようである。(主観的評価であって、客観的評価を行ったわけではございません)
※私見ではありますが、塾を選ぶ場合は、集団ではなく個別それも1対1、または家庭教師がよいと思っています。また、塾のスタート時期は、子供の意見・モチベーションにもよりますが、小学2年生ごろから始めるのがいいのではないかと考えております。
※当ルームでも家庭教師によるコグトレと学習指導を募集人数と場所に制限がありますが行っております。
『境界知能の子供に特化したコグトレ等・認知機能強化トレーニングplus家庭教師・ページ』
次に、性暴力・性虐待を犯してしまった子供で、親の希望でコグトレと再犯防止の認知行動療法プログラムを併用を行った子供や非行や問題行動の始まりの子供たちでも、これは私の主観ですが、先ほどと同じように15回前後からこちらの説明していることに対しての理解力がよくなるように思われます。
※コグトレと再犯防止の認知行動療法プログラムの併用の場合は、1セッションの時間は90分間で行っております。
最後に
当ルームではないですが、犯罪心理学会、その他の学会などでも刑事施設内でのコグトレの効果や取り組みなども発表されたり、民間の医療施設などでも、性犯罪加害者の中の境界知能や軽度知的障害者の方を対象にした再犯防止の認知行動療法プログラムの中にコグトレを組み込んだりしているところがあったりと、ある程度の効果は期待できるから研究や実践で使われているのであろうと考えます。
当ルームでも、今後もコグトレや前頭葉・実行機能プログラムなどの認知機能強化トレーニングの効果研究や新たなトレーニングの開発と実践を継続してまいります。
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