2024年の認知行動療法セミナーを終えて思うこと
今年のリアル視聴の認知行動療法セミナーが終了(録画視聴については、『症例から学ぶ』のコースを12月14日まで行っております)
3シリーズ認知行動療法セミナー
今年も3シリーズ認知行動療法セミナーでは、精神科・心療内科の医師をはじめ、看護師、作業療法士、理学療法士、公認心理師、臨床心理士、シニア産業カウンセラーの方々に参加いただきました。
また、総合診療科(家庭医)の医師や婦人科の医師、教諭、福祉士、鍼灸師などの方々にもご参加いただけました。
私自身は2008年に、成人の先天性心疾患で統合失調症の方(※1)に認知行動療法を行って以降、先天性疾患、慢性疾患などの患者さんが何らかの心理的問題を持つ場合、初期段階にかかわっているのは、その疾患の医師や看護師、リハビリが必要な場合は作業療法士や理学療法士の方、また、疾患を持ちながらも通学できていれば担任の教諭の方々であろうと考えます。
そこで心理問題の初期段階にかかわっている医療・心理・教育・福祉の方々にも、疾患を持った子供のメンタルサポートができるように認知行動療法などの心理療法を学んでいただければと考えております。
※1、小学生から身体や容姿についていじめを受け続けていた方です。
それ以外にも、ストレス疾患などの初期段階では鍼灸院などにかかる方もおられるので、鍼灸師の方などに学んでいただけるといいかなとも考えています。
早いうちに心理面のサポートができることで、結果的に重い精神疾患にならずに済むのではないかとも考えて、様々な方にご参加いただけるような認知行動療法セミナーを継続できればと考えながら行っております。
以前には、こんなことも起きました。
このセミナーに家庭医(総合診療医)の指導医の方がご参加いただいたことがきっかけで、静岡家庭医養成プログラムのメンバー(主に医師)に2015年より継続して認知行動療法の研修(コンサルテーションも含む)を行っております。
個人の認知行動療法セミナーでは、3シリーズ以外に下記のセミナーを今年は2回行いました。
実践に役立つ認知行動療法セミナー:
テーマ・認知行動療法の進め方を一事例から学ぶ-うつ病の全12セッション-
夫婦(カップル)・家族の認知行動療法セミナー
夫婦(カップル)・家族の認知行動療法セミナーは、今年は当ルームで一回と外部の心理機関の依頼で一回の計2回行いました。
このセミナーは、家族も対象にしていますが、セミナーは夫婦(家族関係の核)やカップルの二者関係をベースに行っております。
なお、このセミナーでは認知療法・認知行動療法の基本的なことは、セミナーや研修を受けて理解している方を対象に行っています。
二者関係の問題
二者関係の問題は、認知モデル(認知行動モデル)を用いて心理教育を行ったり、肯定的関係の構築のための技法、また、一方が神経発達症や精神疾患などの問題を抱えている場合などにも認知行動療法が合っているように思っています。
個人と夫婦(カップル)の認知行動療法を併用することもできる。
夫婦(カップル)の認知モデル(認知行動モデル)
夫婦の険悪なコミュニケーション場面のお互いの認知・行動・気分・身体の状態などを書き入れ心理教育を行う。
お互いの反応を知ることができる。
夫(妻)、彼(彼女)が神経発達症の場合
夫(妻)、彼(彼女)がASDの場合は、ACAT(※2)を用いることで認知モデル(認知行動モデル)の作成と心理教育、二者間の多くはコミュニケーションの問題に焦点を当てた認知行動療法を行うのに有効です。
※2、ACAT(エーキャット)とは、
「ASDに気づいてケアするプログラム(Aware and Care for my Autistic Traits:ACAT)」
-ASDに特化した認知行動療法-
千葉大学子どものこころの発達教育研究センターの大島氏らが開発
夫(妻)、彼(彼女)がASDの場合の認知モデル(認知行動モデル):簡易バージョン
例として、夫がASDの場合を記載
お互いの認知・行動・気分・身体の状態を知る前に、ASDの人とASDでない人の特性を理解し、その後にお互いの特性を加味して認知・行動・気分・身体の状態を知るための心理教育を行う。
外部の依頼セミナーでは、約20年ぶりにデモンストレーションを行いました。(以前は個人の認知行動療法のデモ)
依頼機関のスタッフ2名(公認心理師、看護師)と約2か月前に、デモと終了までの経過を説明するケースを用いて打ち合わせを行いました。
スタッフの方は、お二人でケースを読み込んだようで、とても上手に夫婦役を行っていただきました。もちろん実際の面接での応答とは違う内容の発言をされたりもしましたが、それによってより臨場感のあるデモができたのではないかと考えております。
なお、私自身は3人でのデモ面接の練習などをしない方が、参加者に面接での私の言動などを知っていただけるであろうと考えていたためにぶっつけ本番とさせていただきました。
とはいえ、無事に終えてホッとしています。
また依頼など何かの機会があれば、クライエント夫婦役が大変かもしれませんが、研修の中でデモはしてもいいかなとは思っております。
さて、2025年も以下の3つのセミナーを行ってまいります。
●3シリーズ認知行動療法セミナー
●実践に役立つ認知行動療法セミナー
●夫婦(カップル)・家族の認知行動療法セミナー
認知療法/認知行動療法セミナー・ワークショップ:2025年研修
2025年:認知療法/認知行動療法セミナー
夫婦(カップル)・家族の認知行動療法セミナー
リスタ・カウンセリング・ルーム
2004年より毎月1回開催中『ザックバランだけどまじめな勉強会』
医師や公認心理師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、教諭、その他の国家資格や、臨床心理士などそれに準ずる資格を持つ専門職のための認知行動療法の学びの場
主に症例検討、様々な技法の使い方の検討、時にテキストでの勉強など認知療法・認知行動療法に関する勉強会
参考文献:
ASDに気づいてケアするCBT ACAT実践ガイド
著者:大島郁葉・桑原斉
金剛出版 2020/10/10