自閉症スペクトラム症の認知行動療法の研修会を受講
毎年、学会での発表や出席以外に勉強のためにいくつかの研修会を受講するようにしています。
今回は、主催者は違いますが昨年も受講させていただいた『ACAT(ASDに気づいてケアするプログラム)』という自閉スペクトラム症に特化した認知行動療法の研修会に8月20日(土)~21日(日)の2日間を受講しました。
昨年受講したのであれば、同じものを2度受けなくてもいいのではないかと思われるかもしれませんが、普段の相談をよりよくするために再確認と一度聞いているとはいえ新たな発見というか疑問が解決することも多々あります。
学会などで発表を聞いている時も同じですね。
ACATというのは、小学校の高学年から成人を対象に作られたASDに特化した認知行動療法です。
当ルームの場合は、中学生以上の方を対象にしております。
相談に来られる方は、中学生(親と同席の場合と一人だけの場合があります)と成人(主に仕事をされている方・夫婦で受けられる場合もあります)の方が多い。
どうしてかはわからないが高校生の方の相談は少ないですね。
ACATはうつ病や不安障害などの認知行動療法とは違って、ストレスマネジメントやスポーツのコーチングに近い方法です。
うつ病や不安障害などの認知行動療法というのは、症状をなくすための方法ですが、ACATは本人と心理師、時に親や夫・妻が本人の特性を理解したうえで『状況に対して自分の認知と行動をコントロールする方法』と『周りに環境を調整してもらえるように伝える方法(合理的配慮)』の2つからなっています。
本人の持つ特性を変えることは出ないために特性を理解してコントロールする方法を学んでいきます。
そして、自分の特性を理解した上で環境・状況に対して2つのコントロール方法を自分だけでも用いることができるように(セルフコントロール)するための練習・トレーニング。
ただし、うつ病やパニック障害などの不安障害、強迫性障害等の精神疾患がASDの二次障害として表れている場合は、まずはうつ病などの精神疾患を薬物療法や認知行動療法で解決後にACATを行うことになります。
今回の研修ではASDに特化した認知行動療法を学びましたが、ADHD(注意欠如・多動症)も実行機能のセルフマネジメントを目的に作られた認知行動療法プログラムも多くあります。
実行機能とは、以下のもののことをいいます。
ワーキングメモリー・思考や判断などの際に必要な情報を一時的に保持・処理する記憶機能。短期記憶の一種類
自己抑制・我慢すること
集中を妨げるものに抵抗すること
注意散漫
整理すること
計画性
プランニング
セルフモニタリング
ただし、ADHDの場合は、薬物療法が有効な場合もあるのでここがASDとは違います。
※ASDに対して有効なお薬は現在はまだ開発されておりません。
ASDやADHDで困っている方やそうかもしれないかな思っている方は、専門の相談室や病院で特性を理解するところから始めてみませんか。
また、まだまだ日本では少ないと思いますが、中学生以上であれば『ASDに特化した認知行動療法』を受けることも考えてみではどうでしょうか。
中学生~大人の自閉スペクトラム症(ASD)の認知行動療法
中学生~大人の注意欠如・多動症(ADHD)の認知行動療法