性犯罪加害者で小児性愛と思って認知行動療法を受けに来られた方々
自分が小児性愛者と思って相談に来られた3人について。
クライエントは、元教諭が二人と元会社員の方。
元教諭の一人は刑事施設で『性犯罪再犯防止プログラム』を受けられた方で、刑は終えたが社会に出てコントロールできるかが不安で認知行動療法を受けに来られた方です。
もう一人の元教諭と元会社員(研究職)の方は、罰金刑で刑が確定後、精神科の紹介で相談に来られた方です。
さて、3人とも優秀な方々で、元教諭のお二人は子供の指導をしながら自身の研究を学会などで発表したり、元会社員の方も自分の専門分野について、学会などで研究発表をされていました。
お二人は結婚をしていて、一人は事件後に離婚をされましたが、もう一人の方の奥様は一緒に治していきたいとおっしゃっていたので、ご主人の認知行動療法とは別に、個別に相談を行うようにしました。ただ、その奥様は元教え子であった。結婚は成人してからである。
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まず相談に来られてお話をお伺いしていて、3人の対象が中学3年生から高校3年生の子供であった。
また、本人たちの恋愛関係における考え方が純粋というか、とても子供っぽい(未成熟)。
子供が好きというより恋愛関係における社会性がそのレベルで止まっている。
そして、子供を性欲のターゲットとして付き合い始めたというよりも、小学生など子供すぎるのは対象にならないみたいで、本人たちと同レベルの恋愛に関する思考をしている人と恋愛をしたいと思っていた。
(本人たちが対象にした年齢の子供が『同レベルの恋愛に関する思考をしている人・・』と勝手に思い込んでいた)
ただし、相手も同じように恋愛感情で接しているという思い込み(認知の歪み)があり、自分の立場が上で強迫的な付き合いが起きているとは理解できないところに問題があった。
なお、大人を性的対象にできない経験などがあったかというと3人ともがそのようなことはないと言っていた。
ちなみに、会社員の方は、実際に成人女性2名と付き合ったことがあるとは言っていたが3か月程度で分かれている。また、元教員はお二人も結婚をされている。なお、一人の方に奥様がいますが、その奥様も恋愛関係における社会性レベルが同じような感じであった。
それ以外の部分は、とても客観的できちんとした会話ができる常識的な方という印象で、性加害者や性的問題行動で相談に来られる多くの方と同じような感じであった。
さて、認知行動療法のプログラムは、当初は1週間から2週間に1回のペースで、個々に違いがありますが10回~25回を行い、その後、月に1回、2カ月に1回、3か月に1回と間隔を空けながら日常生活の中でセルフコントロールを行っていただき、コントロールが出来るという自信を持ってもらえるように行った。
終了までの期間は、今回だけに限定しなければ約6カ月から5年と性依存の状態によって大きく変わってきます。
終了時には、何か問題が起きそうになったらすぐに相談に来るようにと伝え終えています。
なお、ひとりの方は、今回の件とは別ですが、うつ病で認知行動療法を受けに来られていました。
小児性愛 / 小児性愛障害の基準『DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)』
A,少なくとも6ヵ月間にわたり、思春期前の子どもまたは複数の子ども(通常13歳以下)との性行為に関する強烈な性的に興奮する空想、性的衝動、または行動が反復する。
B,これらの性的衝動を実行に移したことがある、またはその性的衝動や空想のために著しい苦痛、または対人関係上の困難を引き起こしている。
C,その人は少なくとも16歳で、基準Aに該当する子どもより少なくとも5歳は年長である。
注:青年期後期の人が12~13歳の子どもと性的関係を持っている場合は含めないこと。
※DSMとは、アメリカ精神医学会の精神疾患の診断基準・診断分類のことをいいます。
名称は「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」と言います。
性暴力を行ったご本人、その家族の方は、まずは相談にお越しください。
詳しい内容やご相談については以下のページをご覧ください。
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ブログ
『性暴力や性犯罪加害者に対して、どのような認知行動療法プログラムを行っているのか』
『性の問題行動や性加害者に対する認知行動療法を行っていて』
参考文献
『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)