Christine A. Padesky,Ph.D





 本ワークショップは、中級から上級レベルの認知療法家向けの内容になっております。認知療法の初級者でも参加は歓迎いたしますが、基本的な認知療法スキルについての知識、あるいは第T軸診断の障害に対する治療プロトコルについては、解説を加えるゆとりはありませんのでご了承ください。

※ワークショップ 1では、第T軸診断の障害のうつ病を扱っております。
 初級者の方は、ワークショップ1、2の両方の受講をお勧めいたします。

人格障害にCBTは効果的な治療法であるというエビデンスが蓄積されつつあります。認知療法家が直面している困難のひとつに、あるひとつの人格障害の診断基準を満たすクライエントはたいてい、ほかにもうひとつ、場合によってはさらにそれ以上の、他の人格障害の基準を満たしてしまっている、という事実があります。そのために、簡単かつ明瞭にひとつの治療プロトコルを思い描くことが、難しくなってしまいます。

このワークショップは、このようなジレンマの克服法を皆様にお伝えするものです。パデスキー博士と共同研究者のキャサリーン・ムーにー博士は、15年を費やして人格障害治療のための認知療法パラダイムを開発してきました。このアプローチは、複数の人格障害の診断基準を満たすようなクライエントに使用可能であって、通常は抑うつや不安などDSM-IV-TR 第T軸の気分の問題に対して標準的なCBT介入が行われた後に実施されるものです。
また、第T軸の障害に対する標準的な治療が奏効しなかったような、
慢性化している問題や治療抵抗性の高いクライエントの問題に対しても、用いることができます。

これは、非機能的な信念や行動に焦点を当てることよりも、新しい信念体系や対人場面における新しい行動パターンに的をしぼった上で構築する方法です。段階的な手続きについて説明するだけでなく、クライエントの例を通して、あるいは実際に臨床的介入のデモンストレーションをお見せすることでわかりやすく紹介されます。ワークショップの参加者には、構造化されたロールプレイを通して、一般的な臨床場面を想定して学んだスキルを発揮していただきます。




ワークショップ参加者は、以下を習得することができます。
@人格変容によるメリットをクライエントに理解してもらいやすくなる。

A自分にふさわしいと感じられるような「新しい」人格システムを構築してい
 くように、クライエントを導くことができる。

B「新しい」人格システムがしっかり持続されるような、新しい信念や対人ス
 キルを仕立て上げることができる。

目的
・「古い」人格システムについてクライエントが概念化していく過程を、十分
 配慮しながら援助するための構造化面接を導入してみること。

・「新しい」システムをクライエントが主体的に発展させることを援助するた
 めの、構造化された治療法を練習する。

・「古い/新しい」を対比させる概念化ワークシートを用いて治療面接をまと
 め上げていく。

・新しい人格システムがしっかり持続されるような行動実験を案出しそれにつ
 いて振り返る。



1日目 認知療法と実習内容の概観
認知理論と各種人格障害の特徴

新しいパラダイム:4ステップ・モデル
ステップ1:人格変容へ向けたスタートの位置につく
  ・共有できかつ優しい配慮にあふれた言語表現を見つけ出す
  ・クライエントが「古い」人格システムを概念化できるように
   手助けするための構造化面接
  ・重要な背後にある思い込みや中核信念をとらえる
  ・なぜ変化が必要となるのかについて取り上げてみる

ステップ2:クライエントによる「新しい」人格の構築
  ・「新しい」に焦点を当てることのメリット
  ・臨床実践デモンストレーション

パデスキー博士と井上和臣博士との対談
  人格障害について:日本の事情

井上和臣博士のご紹介
鳴門教育大学大学院
人間教育専攻臨床心理士養成コース
教授
/日本認知療法学会事務局長

2日目 ステップ2の続きから:クライエントによる「新しい」人格システム
           の構築
  ・「新しい」人格システムのクライエントによる概念化を促す構
   造化面接
  ・より適応的な信念と行動を、人格システムの強さという点も加
   味しながら、思い描けるようクライエントを援助するための構
   造化された方法
  ・「古い/新しい」を対比させるワークシートを用いて治療にお
   ける大枠の焦点付けの方向性を確認する

ステップ3:新型モデルの「テスト走行」/新しい信念やスキルの強
      化

  ・より柔軟な対人関係方略を構築するための行動実験
  ・「古い」システムと「新しい」システムに基づいた場合のそれ
   ぞれの未来予想
  ・自然発生的に起こった事象から最大限に学び取る
  ・新しい信念を強固にするために、連続体モデル上で判断する、
   中核信念から生まれる表現を書き出す、あるいは、行動実験を
   用いる

ステップ4:終結に向けての準備、再燃予防のために心がけること
  ・クライエントが習得してきたことのふりかえり
  ・今後も継続していく実験について計画を立てる
  
新しい人格システムで生活していく中で予測される困難について
  ・予測される困難に備えて、積極的でかつ「ありきたり」ではな
   い具体的な計画を構築する


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